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2次元ヘリウムを作る

 我々はヘリウム原子の吸着基板としてグラファイト表面を利用しています。グラファイトの結晶構造は炭素原子からなるハニカムシート(これをグラフィンと呼びます)が層状に積み重なった構造をしています(下図参照)。グラファイトはヘリウム原子吸着ポテンシャルが 約100 Kなので,我々の測定する1K 以下の極低温では,He原子は強くグラファイト表面に束縛されています。これに対して,基板に平行方向に動くときは 20〜30 K(吸着第2層目の場合は2〜3 K)の周期的なポテンシャル障壁を感じるだけなので,比較的自由に運動することができます。そのため理想的な2次元系が容易に実現するのです。

graphite

 グラファイトは鉛筆の芯の素材としておなじみですが,我々が用いているのはexfoliated graphiteと呼ばれる特殊なもので,細やかな単結晶が並んだ構造をしています。そのため,2〜20 m2/gといった大きな吸着表面積を内包しており,熱容量・NMR 測定に適しています。単結晶子のサイズはものによって異なりますが,20〜200 nmです。この長さに渡って表面は原子スケールで平坦なので,かなり理想的な吸着基板ということができます(下図左)。下の左図は走査トンネル顕微鏡で観測したexfoliated graphiteの表面原子像です。

graph     graphite_ponti

 もちろん,4He を吸着させれば 2次元ボース粒子系を形成することができ,3He を吸着させれば 2次元フェルミ粒子系を形成することができます。吸着子を変えるだけで異なる量子統計を持つ 2次元系を容易に作ることができる稀有な系といえます。

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