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熱容量測定

 熱容量は物質の性質を知る上で非常に基本的で重要な熱力学量です。系の温度を単位温度上昇させるのに必要な熱量を表しています。熱力学の言葉でいえば,自由エネルギーの温度に関する 2次微分量であり,エントロピーの温度に関する 1次微分量でもあります。つまり,熱容量測定は系のエントロピー変化をつぶさに見ることができる,あるいは系内部の状態が温度に対してどのように変化するかを見ることができるプローブであるといえます。

 例えば,液体 4He の超流動転移(ラムダ転移)では,熱容量に下図のようにギリシア文字のラムダの形で異常が現れます(これがラムダ転移の名前の由来です)。とくに相転移に伴って系の対象性が破れるときに,熱容量の温度変化にはピークやカプスが観測され,その形から転移の次数が 1次か 2次かなどの情報を得ることができるのです。

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 熱容量の具体的な測定方法については多くの手段がありますが,ここではもっとも単純で信頼性の高い断熱ヒートパルス法について説明します。これは,系を断熱状態におき,そこへ既知の熱量(ΔQ)を加えたときの系の温度上昇(ΔT)を測定するという方法です。この 2つの量から熱容量(C)は以下の表式で求めることができます。ですから,この方法による熱容量測定には,良好な断熱状態を作り出す熱スイッチと精度の高い温度計とヒーターなどの加熱機構があれば良いのです。

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 我々の研究室では,熱スイッチとして純金属の超伝導状態と常伝導状態の熱伝導度の大きな差を利用する超伝導熱スイッチを使用しています。また,温度計としては,白金原子核の核スピンの磁化がキュリー則に従うことを利用した Pt-NMR 温度計,プレスした炭素微粉体の電気抵抗が低温で急速に大きくなること利用した炭素抵抗温度計を使用しています。これらの温度計を較正するためには 3He の融解圧力曲線を利用したヘリウム 3融解圧温度計(MCT: Melting Curve Thermometer)を使用します。

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